『登録異議申立・無効審判について』

商標法では、商標登録後であっても、その登録を取り消したり無効にしたりすることができる制度が定められています。
 そのひとつは、「登録異議申立」制度です。これは、公衆の利益保護の観点から、第三者による申立てに基づいて特許庁による登録処分の見直しを行い、瑕疵ある登録処分を是正し、登録の信頼を図ることを目的とするものです。もうひとつは、「無効審判」制度です。これは、登録の適否を巡る当事者間の紛争解決を目的とするものです。
 両制度の概要は以下のとおりです。

<申立人・請求人>
 登録異議の申立ては誰でも行うことができます。対して、無効審判は利害関係人しか請求できません。

<申立て・請求の期間>
 登録異議の申立てができる期間は、商標公報発行後2ヶ月以内です。対して、無効審判はいつでも請求でき、商標権の消滅後に請求することもできます。ただし、無効理由によっては商標の登録日から5年が経つと請求できなくなる場合がありますので注意が必要です。

<申立て・請求の範囲>
 登録異議申立・無効審判ともに、全ての権利だけでなく、一部の権利(商品・役務ごと)について争うことができます。

<対立構造>
 登録異議申立においては、商標権者は審判官からの通知に応答すればよく、申立人に直接応答する必要がありません。そのため、登録異議申立の場合は商標権者と特許庁とが対立する構造になります。無効審判の場合には当事者同士が対立する構造になります。

<申立て・請求の結果に不服がある場合>
 登録異議申立も無効審判もその結果に不服がある場合は、知財高裁に不服の申立てを行うことができます。ただし、登録異議申立において、商標登録の維持が決定した場合は、この決定自体について不服を申し立てることができません(この場合は、別途、無効審判を請求することで、登録の適否を争うことができます)。

 登録異議申立や無効審判により商標登録が取り消されたり無効にされたりすると、原則として商標権は遡及的に消滅し、最初からなかったものとなります。

 現在、出願された商標は『特許情報プラットフォーム[J-PlatPat]( https://www.j-platpat.inpit.go.jp/web/all/top/BTmTopPage )』で公開され、商標登録がなされたことも商標公報発行と同時期にこのサイトで確認できます。取り消したい瑕疵のある登録商標を発見した場合や、登録異議申立・無効審判請求を受けた場合、まずはご相談ください。